『満洲源流考』(まんしゅうげんりゅうこう、満洲語:ᠮᠠᠨᠵᡠᠰᠠᡳ
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ᠪᡳᡨᡥᡝ 転写:manjusai da sekiyen i kimcin bithe)は、清のアグイ(阿桂)らによって撰された地理書。1778年成立。清代当時の中国東北部(旧満洲)の部族・地理・風俗に関する古来の史伝を列挙・考証している。
満洲人が支配層に君臨している王朝である清からすれば、自らの政権及び民族のルーツ、そして成り立ちに関わるため、『満洲源流考』において渤海国の史料が収集され考察なされているが、収集された史料は中国王朝の正史などの記述で、満洲人及びその先祖に比定されている民族独自の伝承はほとんどなく、渤海の首都である上京龍泉府の遺跡を金の上京会寧府の遺跡に比定していたように、厳密な考証がなされていない。
『満洲源流考』を含むいくつかの中国の史料には、女真完顔部の先祖であり、金朝の始祖である函普が「新羅人」あるいは「高麗より来た」と記録されている。これを根拠に韓国・北朝鮮では満洲民族のルーツは朝鮮民族であるという主張がある。しかしながら、史料解釈に問題があり、中国・日本などから批判されている。
目録
脚注
参照
史籍
- ジャンギヤ氏アグイ, 于敏中, ニョフル氏ヘシェン, 董誥『滿洲源流考』四庫全書, 1778 (漢文) *早稲田大学図書館所蔵版
- 編者不詳『ᠮᠠᠨᠵᡠ ᡳ ᠶᠠᡵᡤᡳᠶᠠᠨ ᡴᠣᠣᠯᡳ (manju i yargiyan kooli:滿洲實錄)』四庫全書, 1781 (満文)
- 今西春秋『満和蒙和対訳 満洲実録』刀水書房, 1992 (和訳) *和訳自体は1938年に完成。
研究書
- 安双成『满汉大辞典』遼寧民族出版社, 1993 (中国語)
- 胡增益 (主編)『新满汉大词典』新疆人民出版社, 1994 (中国語)
- 『五体清文鑑訳解』京都大学文学部内陸アジア研究所 (和訳)
Webサイト
- 栗林均「モンゴル諸語と満洲文語の資料検索システム」東北大学




